遂に判明!シャープ、プラズマクラスターは「新型コロナに効果」を発表

遂に判明!シャープ、プラズマクラスターは「新型コロナに効果」を発表

2020年9月7日、シャープが独自の空気浄化技術「プラズマクラスター技術」が、新型コロナウィルスの減少に効果がある事が分かったと発表しました。家庭用の空気清浄器にも利用されている技術なので、今後の感染拡大防止に向けて効果が期待されます。現在は台湾の国鴻海精密工業の傘下になっていますが、国内企業として1912年の創業、現在も東証1部に上場を維持しているシャープ。信頼のおける家電メーカーの発表は大きく期待されます。このプラズマクラスター、家庭でも効果が期待されるのか調べてみました。

1. 遂に判明!「プラズマクラスター」は新型コロナに効果

今回公表されたプラズマクラスターの効果は、容器内で「プラズマクラスターイオン」を30秒間照射したところ、空気中に浮遊させた新型コロナウィルスを90%以上減少させたというもの。

とても期待できそうな発表ですが、いったいどんな検証だったのでしょうか。

1-1. どのように検証したのか

今回の検証はシャープのホームページのニュースリリースに詳細が掲載されています。

ポイントは:
・長崎大学感染症共同研究拠点 安田二朗教授(兼 熱帯医学研究所教授)、同研究拠点 南保明日香教授(日本ウイルス学会理事)、島根大学医学部 吉山裕規教授(日本ウイルス学会理事)と共同しておこなった

国内ではウィルスに関するアカデミックマーケティングの実証機関は北里柴三郎に因む(財)北里環境科学センター、(学)北里研究所 北里大学メディカルセンター、(株)食環境衛生研究所と、この長崎大学の感染共同研究拠点・熱帯医学研究所の4か所しかないほど、貴重な機関だそうです。

・「プラズマクラスター技術搭載ウイルス試験装置」を作成し使用
   -試験空間容積は約3L
   -プラズマクラスターイオン発生装置付近 約1,000万個/cm3のイオン濃度
   -新型コロナウイルス SARS-CoV-2を使用

【図:試験装置イメージ】
実験装置
(出典:シャープ社ニュースリリースより転記)

・そのうえで、
①ウィルスに感染した細胞から作ったウィルス液を噴霧
②噴霧したウィルス液にプラズマクラスターイオンを照射
③回収したウィルス液を検証
という手順で実験。

ご覧いただいてわかるように、実験装置内での検証なので、家庭の実際の部屋の中の環境ですぐ効果がある、ということではないようですが、共同実験を行った長崎大学感染症共同研究拠点 安田 二朗教授は、ニュースリリースに寄せたコメントの中で、こう述べています。

「今回、プラズマクラスター技術が空気中に浮遊した状態の新型コロナウイルスを不活化することが実証されたことは、一般家庭だけでなく医療機関などの実空間で抗ウイルス効果を発揮する可能性があると期待されます。」

 

実は、同社は既に2004年にコロナウイルス科の「ネココロナウイルス」に対する効果を、翌2005年には「SARSコロナウイルス(SARS-CoV)」に対する効果も実証しており(同ニュースリリース)、効果はある程度予測されていたとも言えますね。

1-2. どの程度の効果があったのか

この検証の結果は

 ・プラズマクラスターイオンなし:感染性ウイルス数 1.76 × 104
 ・プラズマクラスターイオンあり:感染性ウイルス数 1.54 × 103

ということで、残ったウィルスの数が1桁少なく、91.3%の減少だそうです。
ニュースリリースに掲載されているビジュアルだと、こんな感じです
ウィルス
(出典:シャープ社ニュースリリースより転記)

1-3. 基本的な原理は?

プラズマクラスターイオンは、空気中の水分子と酸素分子に電圧をかけることで水素のプラスイオンと酸素のマイナスイオンを作り出すと、これがウィルスの表面にくっついて「酸化作用」で表面のたんぱく質を分解してその働きを抑制するのだそうです。

なお、シャープでは「プラズマクラスターイオンは高濃度にしても安全性は確保できる」(株式会社インプレスによる関連記事)としているそうです。

【図:プラズマクラスターイオンがウィルスを抑制する原理】
プラズマクラスター原理
(出典:シャープ社ニュースリリースより転記)

2. 家庭用のプラズマクラスターは?

実際の商品にこの効果を表示して販売するためには「医療機器」としての認定が必要ですが、ワクチンや治療薬がない中でこの為の検証を行うことはハードルが高いようで、今のところ認定取得はされていません。

しかし、同社では途中紹介したアカデミックマーケティングの実証機関と協力しながら、空気清浄機やエアコン、天井ライトなどの家電への搭載はもとより、プラズマクラスターイオン発生機そのものを販売しています。

2-1. 実際に使われている技術は?

同社は現在、3つのレベルのプラズマクラスターイオン発生機を販売しています。

  1. プラズマクラスターNEXT(イオン濃度:50,000個/㎤以上)
  2. プラズマクラスター25000(イオン濃度:25,000個/㎤以上)
  3. プラズマクラスター  7000(イオン濃度: 7,000個/㎤以上)

【図:家庭用プラズマクラスター発生機のレベル】
商品レベル
(出所:シャープ社ホームページ「プラズマクラスターの効果」より転載)

2-2. 期待される効果は

同社が確認した販売しているプラズマクラスターイオン発生機の効果について、以下のようなものがあるとしています。

  1. 浮遊カビ菌を除菌
  2. 浮遊菌の作用を抑える
  3. 付着カビ菌の増殖を抑える
  4. 浮遊アレル物質の作用を抑える
  5. 浮遊ウイルスの作用を抑える
  6. 付着ウイルスの作用を抑える
  7. 浮遊ニオイ原因菌の作用を抑える

(それぞれの効果について、外部の試験期間と共に実験した内容などを注記で同社のホームページに記載しています。)

今回、新型コロナウィルスに対しても減少作用が実証されたことで、「5.浮遊ウイルスの作用を抑える」や「6.付着ウイルスの作用を抑える」の効果への期待が高まりますね。

2-3. 家庭用の家電のラインナップは

同社では、既に幅広いタイプの家電製品にプラズマクラスターイオン発生機を搭載しています。また単体の発生機もラインナップしています。どのような機器に搭載されているかを簡単にご紹介しておきます。

  1. エアコン 全シリーズ(詳細は同社ホームページ
  2. 空気清浄機 全シリーズ(詳細は同社ホームページ
  3. 脱臭機 DY-S01(詳細は同社ホームページ
  4. イオン発生機 IGシリーズ(車載・天井型)(詳細は同社ホームページ
  5. 扇風機 PJシリーズ(詳細は同社ホームページ
  6. 衣類乾燥除湿器 CVシリーズ (詳細は同社ホームページ
  7. 加湿器 HVシリーズ (詳細は同社ホームページ
  8. 暖房機 HXシリーズ(詳細は同社ホームページ
  9. 冷蔵庫 SJシリーズ(一部搭載無し機種あり) (詳細は同社ホームページ
  10. 洗濯乾燥機/乾燥機 (一部搭載無し機種あり) (詳細は同社ホームページ

3. プラズマクラスター以外の技術は?

シャープでは2000年から20年にわたってこのプラズマクラスター技術の効果実証を行ってきているとのこと(同社ニュースリリース)で、今回の新型コロナウィルスへの効果検証にも並々ならぬ熱意であったことは推察されますが、その他の技術はどのようなものがあるのでしょうか。

3-1. 次亜塩素酸水

新型コロナウィルスの消毒・除菌方法については、厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページに記載があります。

【新型コロナウイルス消毒・除菌方法一覧】
除菌方法
(出所:厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ

ただ、本ホームページの「5. (補論)空間噴霧について」で、

「室内空間で日常的に物品等の表面に対する消毒剤の(空間)噴霧や燻蒸をすることは推奨されない」(出所:厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ

としており、一部のメーカーなどの機器で噴霧される次亜塩素酸水についても

「消毒効果を有する濃度の次亜塩素酸水を吸いこむことは、推奨できません」(出所:厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ

としています。

3-2. 紫外線

紫外線も、古くから医療用具の滅菌などに使用されています。身近なところでは理容室・美容室で繰り返し使う櫛などに宛てているのを見ます。

実際に、広島大学でも9月5日に

「波長222nm紫外線が新型コロナウイルスを不活化する効果を発見~感染対策への応用へ期待~」

との発表をホームページに掲載しています。
ただ、紫外線については

  1. 人体や生物への健康被害(急性/慢性の紫外線傷害)
  2. 樹脂に代表される有機材料などへのダメージ
  3. 光が届かない場所、影になる場所は殺菌できない

といったデメリットがあるので(出所:スタンレー電気株式会社)これらを解決した形での家庭への利用はこれからといった状態です。

3-3. その他

その他にも、ウィルスに有効であるとして発売されている物が複数ありますが、消費者庁から有効性について根拠の乏しさを指摘されたり、国民生活センターからの報道発表資料でゆうこうせいが未確認であることが伝えられたりということで、「新型コロナウィルスへの効果」という点では、今回のシャープのプラズマクラスター技術以外には、先に挙げた厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページにあるものや紫外線などの限られた状況でしか利用できないものしかないようです。

4. まとめ

9月7日発表の検証は、あくまで実験装置内における市販装置の200倍の濃度での結果です。ワクチンや絶対に効く治療薬がない中、メーカー自身も普通の日常空間での効果検証にまでは踏み込めていません。

しかし、この技術は既に20年にわたって家電製品に採用された技術であることから、今後の検証や改良による普及が見込まれる、非常に期待の高い検証結果であると言えるのではないでしょうか。

今後はワクチンの開発により少しでも早い日常空間での検証の実現に期待したいと思います。